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誰も孤独にしない町 阪神大震災から15年(産経新聞)

【復興の光と影 阪神大震災から15年】(下)

 独り暮らしの人が誰にも看取られずに住居内で亡くなる「孤独死」。阪神大震災では、発生直後から被災地に建てられた仮設住宅での発生が相次ぎ、独居者の健康ケアや地域コミュニティーの大切さがクローズアップされた。

 だが今も孤独死は続いている。震災から5年となる平成12年から昨年1月までの9年余りの間に、568人が被災者のために建設された災害復興住宅で孤独死した。兵庫県の65歳以上の人の割合を示す高齢化率は平成17年10月時点で19・9%と全国水準(20・1%)とほぼ同じだが、県内265カ所で約4万人が暮らす復興住宅に限ると、昨年の高齢化率は47・6%、独居率は51・5%にのぼる。

 県は生活援助員(LSA)が派遣されるシルバーハウジングの大半を復興住宅に組み込み、13年からは独自に高齢世帯生活援助員(SCS)も派遣。地域のコミュニティー支援を進めているが、「568」という数字が重くのしかかる。

 一方、昨年3月まで「孤独死」ゼロを10年間続け、全国から視察の絶えない復興住宅もある。芦屋市の埋め立て地に建てられた「南芦屋浜団地」。814戸中230戸がシルバーハウジング。現時点で、被災地で唯一LSAが24時間常駐している。

 LSAを派遣する高齢者総合福祉施設「あしや喜楽苑」には、地域に開放されたギャラリーや交流スペース、喫茶店があり、毎日100人以上が出入りする。入所者のほか、復興住宅を含む地域のお年寄りが、絵手紙や将棋などの「クラブ活動」や、お茶を楽しみに集まる。

 施設を支えるのは300人を超える地元のボランティア。運営法人「きらくえん」の市川禮子理事長は「24時間体制に加え、地域とのつながりが孤独死を防ぎ、復興住宅の活性化につながっている」と話す。

 震災で家を失い、家族を亡くした人も少なくない高齢者を“孤独”にしない取り組みは、他の復興住宅でも進む。そこには新たなコミュニティーも生まれている。

 11年に入居が始まった神戸市長田区の復興住宅「エヴァタウン海運」では、地域も一体となった「ふれあい喫茶」が月2回開催されている。地元のまちづくり協議会の浅山三郎会長(72)は「コミュニティーは、復興住宅の住民だけでは作れない」と、地域住民に積極的な参加を呼びかけてきた。

 クリスマス会も兼ねた先月23日の「喫茶」に顔をそろえたのは80人以上。「あの人どうしてんの」と、会話は自然に地域の人々の近況に及ぶ。上田義隆さん(72)は、復興住宅に移り住んだ当初は知り合いもいなかったが、喫茶を通じて町の行事や自治会活動に誘われた。昨年は夏祭りの防犯部員も務めた。

 「行事などに誘ってもらうと、住民の一員になれた気がする。安心して暮らせているのは、道で会えば『こんにちは』と言い合えているからですね」

 人を支えるのは人。15年前と同じことを今、改めて実感している。

     ◇

 この連載は木村さやか、佐久間史信、木ノ下めぐみ、塩塚夢が担当しました。

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